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SS:三ノ宮




「虎人の恋の事情」

森に住むカイヤンは獣人、しかも、虎人だった。
勿論、人の言葉も理解できる。
彼は妻を娶った。
妻は人間の女だった。
遠い東の国から長い旅の途中だった彼女は、カイヤンを見ても驚かなかった。
森の近くに住む人間は、逃げようとしたり、武器を持っていると反対に襲いかかってきたりする。
だが、彼女は違った

「こんにちは」

と声をかけてきたのだ。
驚くカイヤンは、興味を持ち、自分からも声をかけた。
旅の途中だという彼女は、背中に大きな荷物を背負っていた。
自分で作った焼き物を売りに行く途中なのだという。
話を聞くと彼女のいた国は、こことは随分と違う場所らしかった。
獣人と人との間に、隔たりや差別というものが、あまりないということだった。

「随分と、遠くから来たんだな」
「この近くに、とてもいい土があるって教えて貰ったんです。それに、最近は遠くからも注文がくるようになって、仕事も・・・」

話しながら、古い鞄からパンと森の中で見つけた果物を取り出すと、女は食べはじめた。
会話がわずかに途絶え、カイヤンは女を見た。
短い黒髪は肩のあたりで不揃いにそろっていた、顔つきは子供ではない、若い娘とも少し違うように思えた。

「妻にならないか」

それは、ごく自然に出た言葉だった。
女は驚いた。
目の前の虎人は白い毛並みで、縞模様も艶やかな黒色、とても綺麗だった。
なによりも、目の色だ。
金色と銀色、オッドアイというのだと聞いたことがあった。
自分の国に彼がいたら、同族の獣人だけでなく人間の女も虜になってしまうだろう。
だが、綺麗な獣人は、やはり綺麗な者を好むのだ。
そう、自分の国でも・・・獣人と人間の夫婦は珍しくない。
だが、雄の本能なのか、獣人は若い女や処女を好む。
初産の方が、強い子供や雄が生まれることもある、だからかもしれない。
女は、ほんの少し目を大きく見開いた。
それは、驚いたといいたげな様子だった。
すると、カイワンは目を細めた、承知してくれたのだと、思ったからだ。


昼間、女は森や山の土をこねて、焼き物をつくる。
夫のカイワンは、家の修理や畑を作るという生活を送っていた。
昼間、二人は殆どといってよいほど、逢うことない。
だからといって、仲が悪いというわけではない。
窮屈なのは嫌だという彼女の為に、カイヤンは大きなベッドを作った。
夜になると、すり寄せるようにして体をあわせる。

「駄目、あまり近寄らないでよ」
「何故だ、ハル」

名前を呼びながら、笑いを浮かべて、腕をのばしたカイヤンは、わずかに体を起こした。
すると、この間もしたばかりだけど笑いが返ってくる。
その様子に大丈夫だと確信し、カイヤンは手を伸ばすと慣れない手つきで、ハルの夜着を脱がせ始めた。

「三日前だろう」
「カイは、激しすぎるから」
「悦んでたじやないか、もっとして欲しいって」

その言葉に、ハルは慌てて体を起こし、シーツを引っ張った。

「そ、それは・・・」

困った顔をみられたくないと言わんばかりに、顔を隠した
彼女は、小声で言った。

「眩しいから、灯りを」


灯りが消えても、獣人の目には、はっきりと見えてしまうので意味などない。
だが、そんな事を口にしたら、怒ってしまう。
部屋の中が暗くなると、突然、ハルは声をあげた。
愛撫のせいだった。
毛の感触、体の上を滑るような、そんな動きが、気持ちよくてたまらないという。
体中のいたるところを撫でられ、ざらついた舌で嘗められると、すぐに絶頂に達してしまうのだ。
ぐったりとなった裸身を抱き寄せて、指先を動かすと粘液が指を濡らす。
もっと感じるようにと、奥まで入れると体が動きだし、彼女の声が暗い部屋に響いた。
耐えきれないのか、叫びにも似た声を漏らす彼女を寝かせると、カイヤンは寸前まで、押さえこむように我慢していた自分の下半身を押しつけた。
肉棒から、流れるように精液が彼女の中に入っていくのを感じながら、早く子を産んでくれればいいと思わずにはいられなかった。

獣人と人間は体格では、生殖器の大きさも違う。
暮らし初めて半月になるが、カイヤンは、あることに気づいた。
初めての夜の時、彼女の下半身は、すんなりと自分を受け入れた。
処女ではないと感じてはいたし、驚きはしなかった。
気になるのは相手だった、人間ならいい、割り切ることができる。

「ごめん、あたしばかり気持ちよくなって」
「いや、こっちもよかった、ハル」

(以前、付き合っていたのは)

どんな奴だったと、思わずそんな事を口にしかけて、カイヤンは言葉を飲み込んだ。
突然、伸びてきた指が黒い鼻面を突っついた。

「優しいわね」
「そうか、で、誰と比べている」
「昔の人、獣人って、まあ、あの種もだけど・・・」

その言葉にカイヤンは体を起こした。

「ハル、もう一度いいか」

返事も聞かずに押し倒したのは嫉妬の為だろうか。

半月後、彼女が妊娠したと分かったとき、カイヤンは大喜びだった。

だが、自分の息子が恋のライバルとなり、彼女の元○○だというリザードマンが現れるなど、幸せな彼は予想もしなかった。

終わり

 


-モドル-

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