本家[蒼見鳥]  >  もう一つの世界  >   SS  > 【月の明るい夜に・・・】


SS:霜月


月明かりの下、荒れた小道を荷馬車が疾走している。
真夜中だというのに角灯も提げず、何者かに急き立てられるようにひた走る。
いくら今夜は満月とはいえ、この速さで走るのは無謀としかいいようがない。
倒木の一つもあればただでは済まないだろう。
しかもこれから大きな森に入ろうというのに、彼らは速度を緩めようともしない。

「おい、本当にこの道をいくつもりなのか?ここは出るっていう噂だぞ」
「んなこと分かってる。だからこそ通るんだ!マトモな道じゃ、すぐに追いつかれちまうだろうが」
「そうだな。今捕まっちまったら元も子もない…っつうより命がないよな」

実際彼らは追われていた。
理由は後ろに積んだ大きな麻袋だ。
中にはこの地の領主が自らの命よりも大事に思う宝物が入っている。
それは普段なら庶民の目に触れることはなく、ましてや売り買いなど出来ようもないモノだった。
だが特別なツテを使って売れば、彼ら3人が一生遊んで暮らせるモノだった。

その夜は春分を過ぎてから最初の満月、つまり春祭りの晩だった。
誰もが街へ繰り出して浮かれている。中にはまだ宵の口だというのに、道端で酔いつぶれている者もいた。
そこに彼らの獲物は二人の護衛と数人の侍女たちに護られて現われた。
それは無防備にもたったそれだけの人数で街に降りた領主の娘だった。
もっとも「おしのび」ということでヴェールに隠された顔を窺うことはできなかったものの、その姿は見間違いようはなかった。

華やかで粒ぞろいの侍女たちの中にあっても、彼女の容姿は別格であった。
一朝一夕では身に付かない本物の気品に溢れ、余人には真似のできない生彩を放っている。
対して護衛の方は筋肉質な初老の男と華奢な少年で、かなり立派な剣と鎧を身につけていた。
勿論その腕前もそれなりものではあったが、あくまでも礼法に則った剣技である。
多くの修羅場を潜り抜けてきた傭兵崩れの男達を相手にするにはお上品に過ぎた。

彼らはいきなり護衛の二人を背後から切り倒すと、その様を見て卒倒する娘を抱きとめた。
そして追いすがる侍女達を蹴倒すや戦利品を担いで走った。
あまりに簡単にことが進み過ぎて、拍子抜けするほどであった。
また娘を抱えて走る3人は当然注目の的となったが、刃を持つ者を押し留めようとする勇気のあるものは誰一人いなかった。
そして街外れにつくと失神したままの娘の両手を縛って袋に詰め、用意してあった荷馬車に積んだ。
既に日は落ちている以上、普段ならとっくに街は閉門され、馬車での出入りは出来ないはずだった。
しかし春祭りの為に門は開放されたままであり、報せを受けた領主が門を閉じたときには、彼らはとっくに街を抜け出した後であった。

(ここはどこ?)
彼女は暗闇の中で目を覚ました。
しかし窮屈な袋に詰められて動くことができない。
ただゴツゴツと背中に当たる感触と音で、どうやら馬車に乗せられているのには気がついた。
(私は誘拐されてしまったのね!)
彼女は攫われた瞬間の事を思い出していた。
薄暗い上に混乱した中で、目に映るのはギラギラと光る蛮刀と飛び散る血しぶき。
(みんな殺されてしまったのかしら。これから私はどうなってしまうの?もしかして私もこの男たちに…。
 いえ、そんなことはないわ。それにきっとお父様が私のことを探してくれているはず。
 すぐに私を見つけて、この男たちを懲らしめてくれるわ)
娘はそう自分に言い聞かせながらも、膝が振るえるのを止めることができなかった。

そこへ突然の急停車。娘は袋ごと転がり、足首を思いっきり挫いてしまった。馬のいななきと男たちの罵声が聞こえる。
「クソっ!来やがった!だから道から逸れるなって言ったんだ」
「死ぬ気でいくぞっ!3対1だ。イケルはずだ」
「速いっ!」

(きっと助けが来たのね。でも一人だけで大丈夫なの?神様、お願いだからあの人を勝たせて)
娘は見知らぬ救い手の勝利を神に請い願う。
おそらく彼女は今まで生きてきた中で、ここまで真摯に祈ったことはないだろう。
何も見えない闇の中で、聞こえてくるのは硬いもの同士が当たる音や何かを切り裂く音…どれもが彼女が初めて耳にする怖ろしい音だった。
聞こえる度に彼女の身はすくみ、心臓は早鐘を打つ。
それは実際には僅かな時間であったが、彼女にとってはあまりに長く耐え難い時間であった。

男たちの魂切る悲鳴、重たい物が倒れる音…そして静寂。
もはや馬の気配すら聞こえない。
(音がやんだ…もうこれで私は助かったの?)
娘が自問していると、幽かな足音とともに激しい息遣いが聞こえてきた。
「…ハァ…ハァ…」
(かなり疲れているみたい…でもたった一人であの3人をやっつけるなんて、かなりの腕前なのでしょうね)
彼女は安堵のあまりに脱力し、挫いた足の痛みにも今頃になって気が付いた。

(一体どんな人かしら…逞しい大男?それとも身軽な男の子かしら?怖そうな人?優しそうな人?
 あんまり太った人は嫌だわ。かといって痩せすぎも考えものね。
 この足じゃ館まで歩けそうにないし、私を背負って帰れる位の力がないと困ってしまうもの)
彼女の想像はますます膨らんでいった。

(そうだわ、助けてもらったからって気を許してはダメよね。私は立場のある領主の娘。どんな時でも淑女でなければいけないの。
 はしゃいだりしてはいけないわ。これは兵士の当然の役目なんだから、ひとこと「お勤めご苦労様」って言う程度で丁度いいのよ。
 もし兵士じゃなかったら、取り立てて貰えるようにお父様に口添えくらいはしてあげても良いけれど…)

「ビリッ、ビリビリビリッ!」
麻袋が引き裂かれて、大きな手が娘を引きずり出した。
「お勤めご…」
そう言いかけて彼女の口が止まる。
最初に暗がりの中で分かるのは見上げるばかりの大きな影でしかなかった。
しかし程なく雲間から月影が差してその姿がはっきりと見えた。
その姿は大男でも少年でもなかった。いやヒトですらなかった。
そこには彼女を見て舌舐めずりをする巨大な獣が立っていた。


首から下の体型は人間に似ている。
しかし闇の中でもその瞳は爛々と燃えさかり、顎には巨大な牙が血に濡れていた。
それはまさしく肉食獣の頭部であり、ヒトのそれとは似ても似つかなかった。
熊よりも大きな身体は闇色の剛毛に覆われ、手足の指先には長い鉤爪が黒光りしていた。
そして毛皮の下では逞しい筋肉が荒縄のようにうねり、その膂力の程を主張していた。
それは娘も噂には聞いたことがある獣人というものであった。
なんでも時々女子供を攫っては、頭からバリバリと食べてしまう恐ろしい化け物ということだった。
彼女は恐怖のあまりに身がすくみ、逃げるどころか目を閉じることさえ出来なくなってしまった。

「ヒッ…」
込み上げる悲鳴が喉で詰まる。
心の中では絶叫しているのだが、声にならない。
「…ハァ…ハァ…ハァ…」
荒く生臭い息とともに獣の顔が近づく。
生温かい舌が娘の頬をぞろりと舐めると、冷え切った耳たぶや震えるまぶた、固く結ばれた唇の上を這い回る。
彼女が顔を背ければそのあらわになった白い首を舐め、滲み出る汗と恐怖を楽しんでいるようだった。
そして飢えた獣は牙を剥き出すと、やおら彼女の喉笛に噛み付いた。

(食い殺される!)
死を覚悟した娘の身体が硬直する。
しかしその細い首には歯形はついたものの血が流れることはなかった。
獣は何度も噛み付くのだが柔肌に傷がつくことは一度としてなく、その牙は半ば喰い込みながらも、切り裂く寸前で力を緩めるのだった。
やがて獣は顔を上げるとニヤリと笑った。
そう、人ならぬこの獣は確かに笑ったのだった。
おもむろに獣は人差し指の鉤爪を彼女の服の胸元に掛けると、一気に下まで引き裂いた。

「ヒッ!」
破れた服からこぼれ出したのは月明かりにも眩しい白い胸と、飾り気のない清楚な下穿きだった。
毛深い指が布の残骸をめくると、初々しく震える双丘の先で薄桃色の乳首が寒さと緊張の為に固く尖っていた。
小ぶりながらも充分なそのふくらみに獣はほくそえむと、巨大な顎を目一杯開いて瑞々しい果実にかぶりついた。
獣は甘噛みを繰り返しては弾力を確かめ、その間にも口の中では乳首をなぶり舌先で転がした。
そしてその歯ごたえをこりこりと楽しむと噛み千切らんばかりに引っ張るのだった。

そのとき甘くすえた臭いと共に娘の下穿きにシミができた。
恐怖のあまりに失禁してしまったのだった。
鼻をひくつかせ臭いの元を探る獣。
その鼻面が股間をまさぐっているのだが、彼女には一度流れ出したものを止めることは出来なかった。

荷台の上には見る見るうちに湯気を立つ水溜りができた。
するとその獣は舌を鳴らしてその小水を舐め取り始めた。
やがて獣は荷台にできた水溜りをあらかた舐め尽くすと、今度は娘の下穿きをしゃぶり始めた。
そして哀れな布切れを口で剥ぎ取ると、もっと出せとばかりに執拗に娘の裂け目を舐め続けた。

淡い茂みを掻き分けながら、長い舌が踊りまわる。
すぐに割れ目の先に顔を覗かせた蕾を見つけると、ちろちろと舌先で味わうようにねぶりだした。
最初は堅く閉じていた蕾も僅かずつ膨らみ、ついには根負けしたように中味を晒した。
そしてその変化に気づいた獣はさらに蕾を執拗に責め立てるのだった。

(なに?一体どういうつもり?)
初めて感じる異様な感触に、娘の頭は恐怖と混乱で一杯になり、泣くことさえも出来なかった。
ふと獣の視線が彼女に絡む。その時やっと彼女は気づいた。
その歪んだ笑みは食欲ではなく、別な欲望を示していることに…。
いくら男女の中には疎い深窓の令嬢といえども気づかない訳にはいかなかっただろう。
なにしろ獣の股間には、巨大な脈打つモノが屹立していたのだから。

(いや。それだけは絶対にいや)
それは彼女がまだ幼い頃に見たことがある男性のそれとはあまりに違うものであった。
毛皮の鞘の中からすべり出てきたそれは、そこだけが毛皮に覆われていなかった。
また先端が槍の穂先のように尖ったその凶器はぬめりを帯びて息づいていた。
だがそんな形の違いなどは些細なことでしかなかった。
何より違うのはその巨大さ…子供の腕ほどはある一物が、あたかも蛇のように彼女を狙い鎌首をあげているということだった。

やおら獣はその場に尻をつけて座ると、無造作に彼女を自分に引寄せた。
もちろん娘は全力で抗うものの獣はまるで気にした様子もない。
両手を縛られた娘の抵抗など片手で抑え込まれてしまった。
力尽きて毛むくじゃらの足の間にへたり込むと、無骨な手が彼女の全身をまさぐり始めた。

抱え込むようにして背後から耳を噛み、腋を舐め上げ、乳房をほおばる。
獣の舌はぬらぬらとした涎を塗りつけながら、めったにありつけぬ獲物に舌鼓を打った。
一方空いたほうの手も黙ってはいない。
腹をつねり、ふとももをまさぐり、尻をこねまわす。
そして反対側の乳首をつまみ上げては爪で弾く。

娘のあまりに柔らかな肌は強くこすられる度に赤い痕が残った。
そして白磁のようにシミ一つなかった身体には見る見るうちに何条もの蹂躙の印が刻まれていった。
彼女は汚らわしい生き物が自分を弄ぶ痛みと悪寒に身を震わせていた。
しかしもはや抵抗する気力も体力も残ってはおらず、ただ獣の為すがままであった。

その間にも何かを期待するように、熱く硬いモノが彼女の背中にぴたぴたと当たる。
彼女はその大きさをまざまざと感じると同時に、新たな恐怖を覚えずにはいられなかった。
それがメスを貫く為のモノだと彼女も知識として知っていたからだ。
だがそれが自分の中に納まるとはどうしても考えられなかった。

やがてふとももをまさぐる指が裂け目に達した。
その毛深い指が感触を確かめると、ぷっくりと膨らんだそこは彼女の意思には関係なくわずかに濡れ始めていた。
別に彼女が性的に興奮していたわけではない。
少しでもダメージを減らそうという、身体の防衛機能が働いただけのことであった。

太い指が裂け目にヌルリと侵入した…が、すぐに抵抗にあった。
すると残酷な指先はその最後の抵抗を続ける膜に鉤爪を突き立てた。
その激痛に身をよじる彼女。
しかしそれには頓着せずに、鉤爪は膜をぶちぶちと切り裂いていった。
こうして愛する男性に捧げられるべき処女の証は、ただの邪魔者とばかりに獣の指先で捨てられてしまったのだった。

抜き出した指先をぺロリと舐め取ると、獣はニヤリと笑った。
そして血の匂いに興奮したのか娘の股間に顔を埋めると、わずかに湿った愛液と滲み出る血の雫を音を立てて啜った。
嬲り続けられる秘所が唾液で濡れて糸を引き出すとやっと獣は顔を上げた。
そして彼女を軽々と持ち上げると、待ちかねた自分自身の上にゆっくりと降ろした。


(…痛い痛い痛い痛い痛い…)
メリメリと音を立てて無理矢理に押し広げられていく陰裂とジワジワと飲み込まれていくいびつな肉棒。
しかしその行程は半ばまで進んだ時点で限界になったようだった。
獣は少し不満げに口の端を曲げると、今度はゆっくりと抜き始めた。
苦痛に顔を歪めながらも安堵を見せる娘。
だが勿論これで終わるはずもなかった。
もうすぐ抜けようかという所で、獣はまたしても彼女を降ろしだしたからだ。
肉棒は再びじりじりと限界まで押し込まれ、また抜き出される。そしてまた押し込まれる。
絶え間なく繰り返される拷問と解放に彼女の頭は何も考えられなくなっていった。

繰り返すたびに肉の槍は少しずつ少しずつ奥深くへとめり込んで行った。
そして驚くべきことについには根元まで入るようになっていた。
やがてゆっくりだったその周期は段々早くなっていき、同時にその怒張は彼女の中で更に脹らみ始めた。
ただでさえ限界だったモノが彼女の中で脹らんだ為、もはや抜くことさえも出来ない有り様であった。

「ぐるるるる…」
獣がうめく…と同時に彼女の中に爆ぜるように熱いものが大量に吐き出された。
しかし出口を塞がれた粘液は外に出ることも出来ず彼女の中で荒れ狂った。
そのため彼女の腹圧は上がりさらに苦しくなった。
それでも彼女はどこかほっとしていた。
これで解放されると思ったからだ。

だが噴出が収まっても怒張は少しも衰える様子はなかった。
なぜならそれは先走りともいえる体液であり、いわば潤滑剤のようなものであったからだ。
本番ともいうべき生殖行為はこれからであった。
再び始まる容赦のない責めに彼女の身体は玩具のように獣の上で跳ね回った。
しかしどんなに激しく揺さぶられてもその結合はしっかりと繋がったまま外れることはなかった。

「えぐッ、えぐッ!」
彼女の口から言葉にならない嗚咽がもれ、涙がこぼれた。
しかし獣は応えず、ただその頬に伝うものを甘露でも味わうように舐め取るだけであった。
疲れを知らぬ獣の陵辱は延々と続き、彼女の白い肌と繊細な心には無数の歯形が残されていった。
そして涙も枯れ果て、喘ぎ声が途切れた頃には既に東の空は白み始めていた。

太陽はまた昇り、鳥たちが歌い出す。
爽やかな風と穏やかな木漏れ日の中、獣は満足気に尻尾を振りながら、森のさらに奥深くへと消えて行く…。
もぎ取った馬のもも肉を右肩に担ぎ、左手には壊れた人形のようになった娘を抱えて…。

--------------------------------------------

事件に際し領主は数多くの捜索隊を各地に放ったが、彼の娘の行方は杳としてしれなかった。
領地の端にあり、魔物が棲むといわれる森にも3つの隊が向かったが、いずれも帰ることはなかった。
「大々的な討伐隊を組み、隈なく森も捜索すべし」
…という声もあがったが、それは領主自身により打ち消された。

「娘が森に入った痕跡はなく、万が一入っていたとしても生きている可能性は皆無である。
 確証もないまま異形のものが棲む森を侵しても無意味に犠牲者を増やすだけである」
結局その後、領主の娘の姿を見た者はいなかったという。


 

- 後日談 -