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SS:霜月



小高い丘の中腹、切り立った崖にぽっかりと開いた洞窟があった。
その洞窟から少し離れた場所に一組の男女の姿があった。
男はひょろひょろとした姿で頼りなく、どこか及び腰で歩いている。
それとは対照的に女の足取りは自信に満ちていた。

「見つけたわ。たぶんここよ」
「え?本当ですかい?」
「こんな嘘ついてどうするのよ。ほらアンタの足元に糞があるでしょ?」
「ぎゃ、踏んでたっ!…って姐さんそんな素手で…」
「いちいちうるさいわねぇ。後で洗えばいいことでしょ。
…栄養状態は良さそうね…かなり元気そうだわ」

「こないだのと比べてどうですかね?」
「大人と子供くらい差があるわね」
「あ、それなら楽勝ですね」
「馬鹿ね…こっちの方が大人って意味よ。
結構肉食もしてるみたいだし、ちょっとヤバイ相手かも…」

「げ…姐さんそれはちょっとじゃないです。またオレ半殺しになります。
…というか、あれ以上なら全殺しになります」
「誰もアンタに期待なんかしてないわよ。下の村で待ってればいいでしょ。
あ、ついでだからもう一頭馬が欲しいわ…荷車も忘れずにね。
とりあえず6番の鋼線と簡易拘束具は置いていってちょうだい」


そそくさと荷物を置いて立ち去ろうとする男を尻目に、女は何故か化粧を始めた。
厚手の服を脱ぎ去ると、しなやかで肉付きの良い太ももや胸に乳液を擦り込み、肉厚の唇に紅をさした。
そして股間や脇の下を中心にぬるぬるとした軟膏を塗ると、その上から全身に何本もの革帯を巻いて防具の代わりとした。
革帯は揺れて邪魔になる胸を押さえ込むが、彼女の動き自体は邪魔しない。
またかなり露出度が高いが、それなりに要所要所は守られていた。

力の強い大型の魔物相手に、半端な防具はまるで無意味…むしろ重くて邪魔になる。
下手な鎧をつければ、鎧ごと押し潰されることになるからだ。
そこで守りを捨てて限界まで回避能力を高めた結果、彼女が行き着いたのがこの服装であった。
革帯を巻き終わり、最後に全身に香水を振り撒くと女は呟いた。
「さてと…おめかしは済んだし、次はお出迎えの準備ね」


作業を終えた女は洞窟の前に立つと、手にした大きな丸い玉を中へと放り込んだ。
すると大きな破裂音とともに大量の煙が洞窟から噴き出した。
すぐに凄まじい怒号が響くと、煙の中から漆黒の魔物が現れた。

それはミノタウロスであった。
ただでさえミノタウロスは身体が大きいものと相場が決まっていたが、それは更に一回り大きな体格をしていた。
黒い小山のような身体は怒りに震え、周囲に振りまく殺意が傍目にも見える。
真っ赤な目から止め処もなく涙を流しているのは、女の仕掛けた煙の効果であった。

「鬼さんこちら…私はここよ」
女の声ときつい香水の香りを頼りに、よく見えないままに魔物は突進した。
すばやく女が身をひるがえす度に、背後の木々が薙ぎ倒された。


「あら、その身体はダテじゃないのね」
小馬鹿にした言葉と裏腹に、彼女の頬を冷や汗が伝った。
あんな一撃を食らったら背骨はへし折れ、頭は石榴のようにはじけることだろう。
しかし今さら後には引けなかった。

とはいえ彼女の持つ武器はいくつもの分銅と鋼線だけだ。
いくら当たった所で、魔物は痛くも痒くもない。
もっとも彼女の目的はミノタウロスの殺害ではなく生け捕りである。
元より刃物の類は元々持ち歩いてはいないのであった。

時おり魔物は足の高さに張られた鋼線に引っかかり派手に転んだ。
しかしそれは魔物を益々怒らせるだけで、決め手にはならない。
とにかく相手が力尽きるまで動き回らせる必要があった。
女は石つぶてと言葉を魔物に投げかけ逆上させ、力任せに突っ込んでくる所を紙一重でかわし続けた。


こうして観客のいない闘牛が延々と繰り広げられた。
流石に魔物の息が上がってきた頃、女の手から分銅のついた鋼線が放たれた。
それが太い首に巻きつくや、女は素早く近くの樹を2回りしてから結び付けた。
もしも悠長に動いていたら、魔物に引き摺られて終わりになっていたことだろう。
しかし女はおそるべき身軽さで動き回り、次々と鋼線を投げかけた。

細い鋼線一本一本はとてもミノタウロスを抑え切れるものではないが、10本20本となれば話は別である。
みるみるうちに魔物は、周囲の木々に結ばれた鋼線に全身を絡めとられた。
もちろん魔物は何とか振りほどこうとするが上手くいかない。
その姿はクモの巣にかかった虫そっくりであった。

獲物に女郎蜘蛛のように音もなく近づく女の手には、魔物を拘束するための頑丈な金具が握られていた。
身動きできない魔物の頭に口輪が嵌められ、両手足首に金具がつけられる。
「後は鎖つければオシマイ。どんなに暴れても逃げられっこないわ。
それにしても…あなた、まだ成長期みたいだけど、結構いいガタイしてるわね…」
何とか鋼線を引き千切ろうとしてギリギリと動く筋肉を撫でながら、女はうっとりと呟いた。


そのとき離れた所から、何かが引き千切られる音が聞こえた。
振り向くと魔物の右腕から伸びた鋼線が結びついている木の一本が、根元から引き抜かれようとしていた。
「うそっ!」
驚く女の手をがっしりとした魔物の右手が捕まえる。
程なく反対側からも太い枝が折れる音が聞こえだした。
こうなるともう音は止まらない。
ミシミシという悲鳴を上げながら、周囲の木々は次々に引き倒されていった。

巻きついているだけの鋼線は、緩んでしまえば簡単にほどくことができる。
身体を縛る鋼線が一本、また一本と外されていく度に、魔物は自由を取り戻していった。
しかし片手で吊り上げられた女は、それを歯噛みして見ているしかない。
全ての鋼線と口輪を毟りとった魔物は、女に向かって恐ろしい笑みを浮かべた。
もはや魔物を抑えるものは何もないのだった。


筋肉でできた太い舌が女の顔を撫で回し、ぬらぬらとした涎を塗りたくる。
熱い鼻息がうなじをくすぐり、匂い立つ麝香の香りを吸い込みながら益々荒くなっていく。
ぎょろりとした目玉は充血して真っ赤に染まっていたが、それは煙幕の為だけではなく極度の興奮を示していた。

次にミノタウロスは女の身体の要所を守る革帯を剥がし始めた。
しかし片手では上手くいかないのか、魔物はもどかしそうに女の邪魔な革帯を口で剥ぎとった。
すると押さえ込んでいた乳房が飛び出し、自らの重さに垂れ下がる。
軟膏を塗ってあってもやはり擦れてしまったらしく、革帯の赤い痕が痛々しかった。
その傷痕をなぞるようにぬたつく舌が這い回ると、白い肌に化粧のように妖しく照り映えた。

魔物は丈夫な長靴まで毟って女を全裸にすると、大きな口を開けてその揺れる乳房にかぶりついた。
強く噛み締める度に乳房は押し潰され、染み込んだ乳液の甘い香りとぴりぴりと舌を刺す軟膏の刺激が口中にひろがる。
口の端から零れる涎を拭おうともせず、飢えた魔物は咀嚼を続けた。

その手荒い愛撫に女は顔をしかめた。
だが何故か彼女の口元だけはどこか嬉しそうに吊り上っていた。
そして夢中で乳房を頬張る魔物は、それに全く気づきはしなかった。

力強い手がもっちりとした尻を鷲づかみにした後、女の脚を大きく開かせる。
隠された繁みがあらわになると、不器用な指が探り当てた陰裂をぐにぐにと嬲った。
そのすぐ下で熱い肉棒が物欲しそうに見上げながら、しなやかな太ももに頬擦りをする。
その巨大な脈打つものは何とか彼女の秘裂に入りこもうと精一杯背伸びをしていた。

その時いきなり腰が砕けたように、魔物がその場にへたり込んだ。
そのまま仰向けに倒れこむと、魔物は涎の泡を吹き出しながら全身を弛緩させる。
しかし膨らみきった怒張だけは恨みがましくヒクヒクと蠢き続けた。


「やっぱり最後にものを言うのは女の武器よね。
薬の効きが遅いから、間に合わないかと思ったわ」
力強く脈動する怒張を裸足で踏みつけながら、解放された女は勝ち誇った笑みを浮かべた。
そして物言わぬ魔物を見下ろして、自慢げに話を続ける。

「実は私のつけてる香水って催淫剤なの。
それに身体中に擦り込んだ乳液も媚薬入りなのよね。
ただしその媚薬っていうのがあんまり強力すぎて、足腰立たなくなっちゃうシロモノなのよ。
まぁ効果は抜群だから、ココだけは勃ちっぱなし…。
だからホラ、したくてしたくて堪らないでしょ?」
欲求不満で悶える男根を女の足指がぐりぐりと弄ると、魔物が苦しげに喘いだ。

「大丈夫。すぐに楽にしてあげるわ」
女が足先で男根をくすぐるように擦ると、魔物の腰がつられてヒクヒクと動く。
それが面白かったのか、女は更に速く強く擦り始めた。

「どう?気持ちいい?
これからもっと気持ちよくなるわよ」
女は魔物の涎にまみれた乳房で男根を挟むと、これでもかとばかりに擦り上げた。
その刺激に耐え切れなくなった魔物は、敢え無く大量の白濁を女の顔から胸にぶち撒けた。

女は粘つく生臭い液を優しく指先で拭うと舌を鳴らして舐め取っていく。
甘い乳脂を舐めた子供のように、満面の笑みを浮かべて女は呟いた。
「…んふ…溜まってたのね…濃くておいしいわ…」
女はあらかた舐め尽すと、怒張を咥えて最後の一滴まで吸い取った。
そしてにまりと笑った女は、ひくつく怒張を片手で弄びながら魔物の耳に囁いた。


「どうもごちそうさま。
でもあなたばっかり楽しむなんて不公平だと思わない?
一応は中和剤を飲んではあるけど、この媚薬って私にも効いちゃうのよ。
だからもう身体が疼いちゃって仕方がないの。
今度は私が楽しませて貰う番よね」

女は萎えることのできない怒張の上に跨ると、自ら腰を落としていった。
流石に全部とはいかないが、男根の半ば辺りまで下の口ですんなりと呑み込むと、激しく腰を振り始めた。
精を放ったばかりの魔物の一物は敏感になっており、その快楽はすでに拷問に等しかった。
さほど時がたたないうちに、魔物は2度目の射精に追い込まれた。


「あらあら、これだから坊やはせっかちでダメね。
でも時間はたっぷりあるから大丈夫…次いくわよ」
女が立ち上がると、股間からタラタラと熱い精が滴り落ちた。
それを気に掛けることなく女は四つん這いになると、楽しげに尻を振りながら魔物の一物をしごき始めた。

苦しげな一物は媚薬の効果でいまだに勃起し続けていた。
一方その根元に揺れる睾丸は疲れ果てたように垂れ下がっている。
突然、それが小振りの林檎でもあるかのように、女はがりりと歯を立てた。
動けぬ魔物は断末魔の悲鳴をあげた。

「大げさね。本気で噛んだりしないわよ。
少なくてもあと3,4回は楽しませて貰うんだから頑張ってよね」
目だけで懇願する魔物に対し、女は嘲笑うように言い放った。

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荷馬車に乗った男が戻ってきた時、巨大な魔物とその腹上で子供のように飛び跳ねる裸の女の姿が目に入った。
「姐さん、一体何を?」
よく見れば女の股間は魔物の一物をしっかりと咥え込んでいる。
そして全身を覆っているぬめりはいつもの乳液ではなく、魔物の精液なのは一目瞭然だった。
「…見ての…通り…ちょっと…つまみ喰い…してた…のよ。」
激しい動きに女は息を弾ませながら答えた。

異性にそんな痴態を見られても少しも悪びれることなく、女は淫らな踊りを止めようとはしなかった。
しかしすぐに魔物の腰が痙攣し、結合部から新たな汚濁が漏れ出す。
「…10回目…流石にもうこれが限界かしら…?
私も疲れちゃったから、後はよろしくね」
呆れる男にそう言い放つと、女はそのまま魔物の分厚い胸にしな垂れかかった。

繋がったままの股間を隠そうともせず、ふいごのように動く毛深い胸に女は嬉しそうに頬を埋めた。
そして毛に埋もれた魔物の乳首を指先でほじり出して弄りながら、小声で呟いた。
「今日からあなたは私のもの…これからビシビシ調教していくからそのつもりでいてね。
 まず私の下僕としては、我慢強くなってもらうことから始めるわよ」


ごつい手足を手際よく鎖で繋いでいく男を、魔物の哀れっぽい視線が追いかける。
しかし薬を抜きにしても、疲れ切った魔物には抵抗することはできなかった。

「お前さんもとんでもない御人に捕まっちまったもんだな」
男の口から同情のため息が漏れた。




【 fin 】


-モドル-

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